DIARY 写メ日記の詳細
桜と金木犀
文谷 蓮
2025.10.10

きのう、ことしはじめて金木犀の香りをかぎました
自分は季節の中で秋が圧倒的にいちばん好きで、とりわけ「本格的に秋がはじまったな」と感じる瞬間が好きなので、それをもっともわかりやすく感じさせてくれる金木犀のことも大好きです
桜も同様に「冬が終わった」と感じさせてくれるので好きです(冬は大の苦手)
金木犀も桜も、物語や歌詞で描写される頻度の高い植物です
ぼくもご多分にもれず、これまで書いた長編のすべてで、金木犀か桜を、あるいはそのどちらもを、印象的に描いています
桜がエモーショナルなものに感じられるのは、卒業・入学・入社シーズンという「出会いと別れ」の季節に花を咲かせるからです
もしも一年中あちこちで咲きっぱなしだったら、桜も金木犀もこれほどありがたがられることはなかったはずです
外で思いがけず「あ、金木犀の香り」と気づくからよいのであって、人工的につくられた「金木犀の香り」は情緒に欠け、「トイレを連想するからイヤだ」というひとも少なくないでしょう
桜が散ったらかなしむくせに、金木犀の香りはまだかなと待ちわびるくせに、「いつでも手に入るもの」になったとたん、魅力が色あせる
最近は、なんでも女風と結びつけて考えてしまうクセがついてしまって、ではセラピストはどうあるべきなんだろうかと思いをめぐらせました
気に入ってもらったところを、毎回同じように提供すべきではあるけれど、それだけでは飽きられてしまう
全体的な技術の成長はもちろんのこと、常にあたらしい一面を見せていかなくてはいけない
そのためにはやはり……と、毎日そんなことばかり考えています
デビューの日が待ち遠しくもあり、すこし不安でもあり。そんな秋の朝です