DIARY 写メ日記の詳細

前回の日記で書いたように、ぼくはよく金木犀を自分の小説に登場させるのですが、いまだに毎回悩んでしまうことがあります
「表記のしかた」です
十数年まえに書いた作品(前回日記の画像参照)では「キンモクセイ」、数年まえの作品(今回の画像参照)では「金木犀」を採用しています
【金木犀】
漢字だとパッと読めないひともいるのでは? と思い、以前は仮名を使用することが多かった
しかしSNSでも金木犀の話題はちょくちょく出るだろうから、本を読んでいなくても読めるはずだと考え、最近は漢字を使うように
ただ「犀」は「せい」よりも「さい」と読ませる場合のほうが多く、その点があまりうつくしくないと感じてしまう
が、簡単でイメージの近い漢字がふたつ続いた(金木)あとで難しい漢字(犀)がくるという画的構成はうつくしい
【きんもくせい】
香りのやわらかい雰囲気とはマッチしているが、ひらがな六文字と若干長いため、前後がひらがなの場合、非常に読みづらくなってしまうのが難点
現在も、会話の中ではこの表記を使用している
【キンモクセイ】
やわらかい雰囲気を出しつつ、上記の読みづらさ問題も解決できるため、以前はよく使用していた
しかしカナ表記の場合、どうしても学名っぽくなってしまうので、使わなくなった
以上のようなことを、金木犀のみならず、ありとあらゆる語について考えながら書いています
「金木犀」は、すこし時間をあたえれば小学生中学生でも読めるかもしれませんが、小説においてはその「すこしの時間」が命とりになると思っていて
まあ「命とり」は若干大げさですが、小説を読む際、よけいなことを考えてしまう時間は可能なかぎりゼロに近づけたい
かといって、ひらがなを多用しすぎると、こんどは読みにくくなる
常に「読みやすさ」だけを重視すればいいかと言うともちろんそんなことはなく、視点人物のキャラクター(個性)やどういった場面であるかも考慮しなければなりません。緊張感のある場面では漢字の分量を多くする、あるいは逆に「死」や「殺」などインパクトの強い漢字をより強調させるためにその直前はひらがなにする、など
また、ぼくはむかしから「うつくしい小説は、音楽としても絵としてもうつくしい」と考えており、見開き2ページを引いて見たときの「画面のうつくしさ」も重要視しています
となると、すべてを100%満たす「正解」などあるわけがなく、都度「選択」をしていくことになります
この「選択」の細かさと、正しさ(正確には「まちがっていなさ」)の積み重ねが、作品のうつくしさを決定すると考えています
とまあ、読みやすさだけを考えているわけではないのですが、読み手への想像力を欠いたものにうつくしい文章はない、ということだけはまちがいなく言えるでしょう
セラピストとしても、常にお相手のことを観察・想像し、うつくしい物語のような施術をできるようになりたいと思っています
また女風につなげてしまったところで、きょうの日記はおしまいです
ごきげんよう