DIARY 写メ日記の詳細
彼女と過ごす日々は甘くて、優しくて、そしてどこか空虚さを感じはじめました。
何も知らなかったの僕は、自分が彼女を好きでいれば他の事は関係ないと信じていました。
でも本当は、もうとっくに無理をしていたのだと思います。
最初は可愛い嘘だと思って笑ってスルーしていたものも独りの時には苦しめてくるし、嘘が増えるたびに現実が増えていくので
どうせ知るなら最初に全部教えてくれたら良かったのになと思っていました。
それでも彼女に会うと、全部どうでもよくなる。
香り、声、笑い方、手の温度。
それらが僕を簡単に無防備な気持ちに戻してしまう。
彼女の不安も増えていました。会っている最中に急に泣き出して「私、若くないのにごめんね」と言った日、
僕は何も言えず、ただ肩を抱いていました。
“そんなことどうでもいいのに”と言っても、
彼女自身が一番その言葉を信じられなかったのだと思います。
そして、僕自身の限界も近づいていました。不倫という形は、どれだけ想い合っても「届かない距離」が必ず残ります。
自分が一番じゃないなら別にこっちだって一番を作ってやるとしょうもない意趣返しのつもりで
他の女性と付き合い始めました。
彼女を裏切るようなことだと分かっていたのに、
あの不安と寂しさを埋めるにはと他の女性にも失礼な事をしてました。
彼女は激しく動揺し、そして怒りました。けれどその怒りは単なる感情ではなく、
“裏切られた自分を必死に支えようとする最後の力”
のようにも見えました。
「あなたが費やした時間は、本当に私とだけに向いていたの?」
「私が注いだものは、どこに消えてしまったの?」
そう問われているようで、胸がひどく痛かった。
感情は次第に現実の話へと変わっていきました。
彼女が僕に注いだ“気持ち以外”の部分――
それは僕もよく分かっていたことで、
目をそらせる話ではありませんでした。
お互いに冷静さを保てないまま、
言葉の矢だけが行き交った数日を経て、
最終的には、第三者を介した話し合いに行き着きました。
自分も彼女に取ってもこれが恋だったのか、依存だったのか、ただの逃避だったのか。
最後は静かで、けれど確かに決定的な終わり方でした。
彼女は彼女のために、僕は僕のために。
もう感情では片付けられない部分を“現実として”整理し、
それぞれが前を向くための形で決着をつけました。
不倫という関係は、喜びも優しさも本物なのに、その全部がいつか“誰かの痛み”に変わってしまう構造の上にあるということ。
そして、人は誰かを求めてしまう時、自分の心がどれだけ脆い場所に立っているかに気づけないものだということ。
そしてそれを理解しようとせずに突き進んでしまった愚かさもありました。その全てを今はもう、静かに受け入れています。
そして同時に知りました。不倫という形では、誰も幸せになれないということを。気持ちが本気になるほど、
恋と現実の境界線が壊れ、愛が時限爆弾みたいに不安と自己嫌悪を積み上げてしまうこと。誰かを癒したい気持ちがあっても、その形では互いが壊れていくこと。
だからこそ、今の僕が女風という仕事の“境界線”にこだわる理由があります。
女風は、恋と現実が混ざらないよう大人たちが作る枠組みの中で、安心と安全が守られている世界 です。
誰かの寂しさを満たすとき、互いが壊れないために必要な線がある。
あの頃の僕たちに欠けていたものです。
僕が女性を受け入れたいと思うのは、寂しさを知っているから。
そして境界線のない愛が壊れることを、痛いほど知ったからです。
3回に全てを読んで頂いた皆さん、ありがとうございました。まだデビューしたて、自分の事をもっと発信していかなければなりませんが誰か話したかったことをここで昇華できたのがとりあえず嬉しい限りです。
これからもよろしくお願いします。