DIARY 夏目 ハルの写メ日記
僕は、必要以上に近づくことはしない。 でも、必要な時には迷わず近くにいる。 それは仕事だけじゃなく、昔からそうだった。 困っている人を見ると、「大丈夫?」より先に隣へ行ってしまう。 言葉って便利だけど、ときどき距離を感じる。 隣に誰かがいる安心感は、言葉だけじゃ作れない。 だから僕は、そんな存在でいたい。 何も言わなくても、「この人がいるから大丈夫」と思ってもらえるような。
この仕事をしていると、最初に見るのは表情じゃない。 呼吸だったりする。 少し浅いなとか。 緊張しているなとか。 言葉より先に伝わってくるものがある。 だから最初は、僕もゆっくり話す。 急がない。 呼吸って不思議で、隣にいる人につられることがある。 気づけば同じリズムになっていて、肩の力も少しずつ抜けていく。 僕はその時間が好きだ。 安心って、言葉で作るものじゃなくて、一緒に過ごす空気の中で生まれるものなんだと思う。
「また会いたい人って、どんな人だろう。」 最近よく考える。 面白い人でも、話が上手な人でもない気がする。 帰り道に、ふと思い出す人。 「あの時間、居心地よかったな。」 そう思える人。 僕はそんな存在になれたら嬉しい。 一緒に過ごした時間が、少しだけ明日を軽くする。 そんな時間を、これからも大切にしていきたい。
仕事柄、「手が温かいですね」と言われることがある。 昔は何とも思っていなかった。 でも今は、その一言が少し嬉しい。 人は安心すると、自然と力が抜ける。 その瞬間に触れられる仕事なんだと感じるから。 手は言葉ほど多くを語らないけれど、安心は伝えられる。 僕はそう信じている。
「笑うと雰囲気が変わりますね。」 以前、そんなことを言われた。 少し照れくさかったけど、嬉しかった。 大人になると、写真を撮る時以外で思い切り笑うことって減る。 だから一緒にいる時間くらいは、自然に笑える空気を作れたらいい。 無理をして笑うんじゃなくて、気づいたら笑っていた。 そんな時間が好き
僕は歩くのが少し速い。 でも誰かと一緒の時は、不思議なくらい自然と歩幅が変わる。 意識しているわけじゃない。 気づけば相手に合わせている。 昔からそうだった。 会話もきっと同じ。 無理に引っ張るより、一緒に歩ける方が心地いい。 そんな時間の方が、あとから思い出すことが多い気がする。
好きな香りがある。 強く主張するものじゃなくて、近くにいるとふわっと気づくくらい。 香りって不思議で、その日の空気や記憶まで一緒に残ることがある。 だから僕も、誰かの記憶に残るなら、そんな存在がいい。 気づいたら思い出してしまうような、やさしい余韻を残せたら嬉しい。
別れ際って、その日の印象が全部詰まっている気がする。 「今日はありがとう。」 「気をつけて帰ってね。」 そんな何気ない言葉を交わして手を振る。 その瞬間の笑顔がいちばん自然で好き。 また会えたらいいな。 そう思いながら見送る時間も、この仕事の好きなところ。
人と話す時は、なるべく目を見るようにしている。 ずっと見つめるわけじゃない。 話を聞く時に、ふっと目を合わせるくらい。 「ちゃんと聞いてるよ」 その気持ちは、言葉より伝わることがある。 僕自身も、そういう人と話すと安心する。 だから昔から変わらない癖になった。
いつも少しだけ気になることがある。 帰り道、その人はどんな顔をしているんだろう。 笑ってくれているかな。 少し肩の力は抜けたかな。 そんなことを考えながら、僕も駅まで歩く。 「楽しかった」も嬉しい。 でも、「なんだか安心した」が一番心に残る。 また頑張ろうと思える時間になっていたら、それが僕にとって何よりのご褒美。