DIARY 夏目 ハルの写メ日記
実は、器用な人間ではない。 仕事でもプライベートでも、失敗する。 忘れ物もするし、道を間違えることもある。 昔はそんな自分を見せたくなかった。 「ちゃんとしている人」でいたかったから。 でも年齢を重ねて、少し変わった。 分からないなら聞けばいい。 間違えたなら謝ればいい。 失敗したら、あとで一緒に笑えたらいい。 そう思えるようになって、人付き合いも楽になった。 だから僕の前でも、ちゃんとしていなくて大丈夫です。 緊張したっていいし、うまく話せなくてもいい。 僕だって同じだから。 お互い少し格好悪...
会った人を楽しませなきゃ、と思っていた時期がある。 面白い話をして、退屈させないようにして。 でも、ある時気づいた。 ずっと笑っていなくても、楽しい時間はある。 真面目な話をしている時もあるし、何も考えずぼんやりしている時もある。 大切なのは「盛り上がったか」じゃなく、その人が無理をしていなかったかなんだと思う。 だから最近は、楽しませようと頑張らない。 くだらないことで笑う時は一緒に笑うし、静かにしたい時は静かにする。 その方が僕も自然でいられる。 そして不思議なことに、そういう時間の方が最後...
気づくとシャツの袖をまくっている。 仕事中でも、カフェでも。 昔からの癖。 暑いからというのもあるけど、たぶん腕まわりが自由な方が落ち着くんだと思う。 以前、それを見ていた人から、 「夏目さん、袖まくる時ちょっと雰囲気変わりますね」 と言われた。 本人はまったく意識していなかったから笑ってしまった。 色気って、自分で作ろうとすると途端に不自然になる気がする。 何かに集中している横顔だったり。 時計を外す仕草だったり。 ふとした時に見えるものなのかもしれない。 だから僕も、格好つけるのはあまり得意...
見た目からなのか、甘いものをあまり食べなさそうと言われることがある。 普通に好きです(笑) むしろ美味しそうなプリンやパフェを見ると気になる。 一人でも行けるけど、誰かと食べる方が楽しい。 「一口食べる?」 なんて言いながら、結局どっちが多く食べたか分からなくなるくらいがいい。 僕はデートって、特別な場所へ連れて行くことだけじゃないと思っている。 美味しいものを見つけて、一緒に喜んだり。 歩き疲れて適当に入ったカフェが意外と良かったり。 そういう普通の時間の中で、その人の表情が見える方が好きだ。...
人の名前を呼ぶのが好きだ。 会話の途中で何度も呼ぶわけじゃない。 でも、大切なことを伝える時だったり、ふと目が合った時だったり。 名前を呼ぶだけで、言葉の温度が少し変わる気がする。 僕自身、名前を呼ばれると嬉しい。 「ちゃんと自分に話してくれている」 そんな感じがするから。 この仕事をしていると、最初は少し緊張していた人が、途中から僕の名前を自然に呼んでくれるようになることがある。 あれ、結構嬉しいんです。 ほんの数時間前まで知らない者同士だったのに、不思議だよね。 人との距離って、大きな出来事...
昼の仕事を終えて、ネクタイを外す瞬間が好きだったりする。 首元が少し楽になって、 「あ、今日も終わった」 ってなる。 たったそれだけなんだけど、仕事の自分から普段の自分に戻るスイッチみたいなもの。 昼間は判断したり、説明したり、ちゃんとしていなきゃいけない場面も多い。 でも、ずっとちゃんとしているのは疲れる。 だから誰かと過ごす時くらいは、お互い少し力を抜いていたい。 きちんとしているところもある。 意外と抜けているところもある。 たぶん両方とも僕なんだと思う。 完璧に見せるより、そんな部分まで...
自分の声について、昔は特に意識したことがなかった。 でもこの仕事を始めてから、 「声、落ち着きますね」 と言ってもらうことが増えた。 最初は意外だった。 自分の声なんて毎日聞いているから、何がいいのか本人には分からない。 でも、電話や配信のあとに「眠くなった」と言われると、ちょっと嬉しい。 たぶん僕は、話す時にあまり急がない。 相手が考えている時は待つし、言葉が出てくるまで先回りもしない。 だから声そのものというより、そのテンポなのかもしれない。 昼間はいろんなことを考えて、誰かに合わせて、気づ...
帰り道に、ふと誰かを思い出すことがある。 何を話したかは覚えていない。 でも、一緒にいた空気は覚えている。 落ち着いたこと。 安心したこと。 少しだけドキドキしたこと。 人の記憶に残るのは、言葉より空気なんじゃないかな。 だから僕も、思い出した時に少し心が温かくなるような存在でいたい。
僕は、触れる前の時間を一番大切にしている。 話して。 笑って。 少し緊張がほどけて。 その空気ができた時には、もう心の距離は近くなっている。 触れることは、その安心を確かめるような時間なのかもしれない。
ふっと目を閉じる瞬間がある。 安心した時。 気持ちがほどけた時。 人って、その一瞬だけ無防備になる。 僕は、その空気が好きだ。 信頼って、きっとそういう小さな積み重ねなんだろうなと思う。